Dr.ホルモンとKent Dr.の内分泌講座

Kent Dr.の内分泌講座

甲状腺の腫瘍について

甲状腺の腫瘍は内分泌腫瘍のなかで最も高頻度に認められます。女性に多いのですが触診と甲状腺Echoでの発見率は男女合わせて良性の甲状腺腫瘍と甲状腺癌は各々約20%と0.65%とされております。
癌でも他の癌と比べると多くのケースでは予後が良好とされております。
以下に甲状腺の良性腫瘍と悪性腫瘍の分類や手術の適応等について解説致します。

甲状腺腫の詳細について

約70-80% 良性:
腺腫様甲状腺腫 濾胞腺腫 嚢胞

約20-30% 悪性:
乳頭癌 濾胞癌 髄様癌 未分化癌 そのほか悪性リンパ腫など

悪性の中での割合:
乳頭癌 90%以上 濾胞癌 約5-10% 髄様癌 約2-3% 未分化癌約1%
・悪性→転移:血行性に他臓器へ、リンパ行性にリンパ節へ飛んでいく
・悪性→浸潤:腫瘍が近接臓器(気管、食道、反回神経など)に直接食い込んでいく

細胞診

方法:
超音波でしこり位置を確認しながら、採血の針でしこりを穿刺して細胞を採取し病理医(細胞を診断してくれる医師)に顕微鏡で確認してもらう。結果がでるのに1-2週間かかる。

結果の内訳:

  • 良性
    9割以上良性であるが100%ではない 腺腫様甲状腺腫 濾胞腺腫 嚢胞 など
  • 悪性
    9割以上良性であるが100%ではない 乳頭癌 濾胞癌 髄様癌 未分化癌 稀に他臓器癌転移など(そのほか稀ではあるが低分化癌 濾胞型乳頭癌びまん性硬化型乳頭癌など)
  • 濾胞性腫瘍 濾胞腺腫 or 濾胞癌 悪性頻度 約25%
  • 意義不明 悪性頻度 約15%
  • 検体不適正 細胞数が不足 血液で観察不良
    乾燥や挫滅変性などの理由で結果が得られないことが一定の確率で起こる腫瘍の最終診断はいずれも全体を摘出してはじめてわかるもの

相対的手術適応(濾胞性腫瘍で良悪性が不明であるとき)

  • サイズ 4cm以上(3cm以上で手術する施設もあります)
  • 増大傾向(一般的に急速な増大をいいます)
  • サイログロブリン 1000ng/ml 以上
  • 細胞診で悪性を否定できない
  • 超音波検査で悪性を否定できない
  • 有症状である
  • 整容性(見た目がきになるというのも適応の一つです)
  • 機能性の腫瘍である(甲状腺ホルモンを過剰産生する腫瘍が稀にございます)
  • 縦隔伸展(頚からお尻側へ腫瘍が成長することです)

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