低身長について

低身長の原因

低身長症の原因には様々なものがあります。中でも成長ホルモンの分泌が不足する「成長ホルモン分泌不全性低身長症」は、低身長症の代表的な疾患として知られていますが、実際には全低身長児の10%前後と、それほど多くありません。低身長症の中で大多数を占めているのは「特発性」の低身長です。特発性というのは、病的な原因が見当たらないのに背が低い場合をいいます。「体質性低身長症」「家族性低身長症」「原発性低身長症」も特発性低身長の範疇に入ります。これに対して、病的な原因によって起こるものとしては、ごく稀なケースまで含めると200以上もあるといわれています(右の成長障害フォーラムのご案内により詳細な内容が記載されております)。

成長ホルモン分泌不全性低身長症

下垂体から分泌される成長ホルモンの分泌が悪くなることで背が伸びなくなる病気です。軽症例から重症例まで個人差はありますが、重症例ではそのまま放置すると、男子では138cm前後、女子で126cm前後で止まってしまいます。原因がよく分からない「特発性」、脳腫瘍などが原因の器質的な原因によるものや、稀ではありますが遺伝子異常が原因となるものもあります。

ターナー症候群

ターナー症候群は、性染色体の異常によって起こる、女性特有の低身長症です。ターナー症候群の症状で最も一般的なのが低身長ですが、この他にも体の見える所に特徴的な症状が見られます。首が前から見ると翼のように広がっている(翼状頸)、肘が外側にそっている(外反肘)、二次性徴の遅延など様々です。また、ターナー症候群では出生時には頸部や手・足のリンパ浮腫がみられ、小児期には中耳炎を、成人期には難聴や甲状腺機能低下症、糖尿病、高血圧、高脂血症を、又、一生を通して心血管系の疾患を合併しやすい傾向にありますが適切な治療とケアを続けていれば通常の生活が出来ますし、知能面でも問題はありません。むしろまじめな子が多く、会社に勤務しても評価が高いといわれています。

軟骨無形成症(軟骨低形成症)

軟骨の成長に関連のある遺伝子の異常によって起こります。この遺伝子に異常があると、長管骨(手や足の長い骨)の骨端にある軟骨細胞の増殖が阻害されるため、手足が極端に太く短くなります。額が大きめで、前方に突出し、背が低く、上肢・下肢が短く、O脚で、四肢が胴体や頭に比べて短いといった特徴を持っています。また、手を広げると三尖手といって手が親指と人差し指、中指、薬指と小指というように3つの部分に分かれているように見えます。

この他にも思春期早発症やクッシング症候群による低身長、甲状腺機能低下症による低身長、愛情遮断性低身長症、ラローン型低身長、プラダーウィリー症候群、低出生体重児など、低身長の原因は多々あります。
こういった疾患は成長障害をもたらす代表的な例ですが、先に述べたように、低身長症の診断に訪れる子供の大半は、成長ホルモンの分泌は正常で原因となる疾患がない特発性の低身長症児がほとんどです。現在、こうした子供にも色々な治療が試みられています。なお、この子供たちに共通している点は、例外なく食が細いことです。背の伸びが悪いのは、子供の成長に大切な栄養を十分に摂取していないことも原因の一つであるかもしれません。

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